コーダ 愛のうた
最終更新:2022/10/22
フランス映画『エール!』(2016)のリメイク作品で、第94アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門を受賞し話題となった『CODA あいのうた』。CODAとはChild of Deaf Adults(聴覚障害の両親を持つ子供)のこと。主人公のルビーは、家族の中でたった1人の聴者として、聴覚障害を持った両親と兄と4人で暮らしている。作品の中では、音のない世界で暮らす家族と、才能を見出され「歌うこと」を夢みるルビー、それぞれの思いやすれ違い、そして葛藤がリアルに描かれていく。ルビーの家族を演じた3人の聾者の役者さんたちや、彼らのリアルな描写も本当に素晴らしく、 (特に、ルビーの歌の舞台を観に行った家族が、音が聴こえないために途中で飽きてしまい手話で“今日のご飯どうする?”などと雑談を挟んだりするところなど) 聾者の人たちが日常生活で感じていることを垣間みれたりと、とても学びの多い作品だった。(ルビーの家族は、元々有名だったマーリー・マトリン以外は聴者でキャスティングされる予定だったが、マーリーは本当に聴力にハンデキャップを持った役者でのキャスティングを強く望み、今回のキャスト達が選ばれたそう。)全く立場の違う誰かの視点に立ってみることーー、本当の多様性ってこういうところから広がっていく気がする。音のない世界を想像することで、音楽や大切な人たちの声を感じられる喜びや感謝を忘れないようにしたいと思った。ルビーとマイルズが「You're all I need to get by」を歌う姿も最後のオーディションのシーンも涙なしには観られなかった...たくさんの人に見て欲しい素晴らしい作品。